井上 唯 Yui Inoue
自然や風土、人々の営みから学びつつ、それぞれの土地がもつ素材や物語に、手仕事を介した緩やかな思考と新たな視座を交えることで、この世界の仕組みや目に見えない繋がりを“モノ”を介して想起させるような光景をつくり出したいと考えている。日々の暮らしの中で様々なモノを採集したり、それらを使って作ったり、繕ったり、遊んだりと、素材と対話しながら手を動かしていくことを軸に<生活>と地続きにある<制作>の在り方を模索している。
1983 年 愛知県豊橋市生まれ
2005年 愛知教育大学 教育学部 造形文化コース 卒業
2007年 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 染織コース 修了
-2010年 大阪産業大学 工学部 建築・環境デザイン学科 助手
現在 滋賀県高島市在住
【主な展覧会】
2023年 「井上唯/ITONAMI: 風景に向かって旗をかかげる」ギャラリーノイエ(長野)
2022年 「国際芸術祭あいち2022」愛知芸術文化センター(愛知)
「北陸工芸の祭典:GO FOR KOGEI 2022」那谷寺(石川)
2021年 「Soft Territory かかわりのあわい 」滋賀県立美術館(滋賀)
2020年 「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020」横浜市庁舎(神奈川)
2019年 「滋賀近美アートスポットプロジェクトvol.2 《 Symbiosis 》」(滋賀)
2018年 「2018年の方丈記私記 / 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟)
「再製造:RE-ART FESTIVAL」 (桃園/台湾)
2017年 「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017」象の鼻テラス・象の鼻パーク(神奈川)
「奥能登国際芸術祭2017」恵比寿湯(石川)
2016年 「SOKO LABO/瀬戸内国際芸術祭2016」粟島(香川)
「我們的詩/E=mc² 台日設計相對論」文房VVG Chapter(台湾)
2015年 「PORT JOURNEY San Diego⇄Yokohama」San Diego(アメリカ)、象の鼻テラス
(神奈川)
「井上唯/夢をみているのか。」 ギャラリー揺 (京都)
「旅するキノコ」日本茶喫茶楽風、青山邸(埼玉)
2014年 「SLOW LABEL THE FACTORY3/ Blue Ocean Blue Sky うみとそらのものづくり」
象の鼻テラス(神奈川)
「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」象の鼻テラス(神奈川)
2013年 「SLOW LABEL THE FACTORY2/ 急募!スローファブリック工場の職人」
象の鼻テラス(神奈川)
「六甲・ミーツ・アート2013 芸術散歩」 六甲オルゴールミュージアム (兵庫)
「風と土の交藝 in 琵琶湖高島 2013」 大村邸 (滋賀)
2012年 「SLOW FABRIC SHOW :スローな 『織り』と『編み』 の世界」 spiral (東京)
2011年 「井上唯/海を眺めている」 粟島海洋記念館2Fホール (香川)
2010年 「井上唯/いまここに存在するということの不確かさ」 ギャラリー揺 (京都)
「井上唯/ここではないどこかへと」 ギャラリーギャラリー (京都)
2008年 「公募京都芸術センター2009 」京都芸術センター (京都)
2007年 「Presentation & Exhibition 2007」 ARTCOURTgallery (大阪)
「井上唯/静かな時間」 アートライフみつはし (京都)
【アーティスト・イン・レジデンス】
2024年 「桜島のアーティスト・イン・レジデンス: Art meets ふるさと」(鹿児島)
2023年 「信濃大町アーティスト・イン・レジデンス2023: 水をつむぐいとなみ」(長野)
「アーティスト・イン・レジデンス2023 at ホテル龍登園:residence artist vol.2 井上唯」(佐賀)
2020年 「ゆいぽーと自主活動プログラム 2020冬季 アーティスト・イン・レジデンス」(新潟)
2018年 「 PCCA International Residency Project 1 : Breathe」 Points Center for Contemporary Art(錦渓,中国)
2011年 「神山アーティスト・イン・レジデンス 2011 」 (徳島)
2010年 「粟島アーティスト・イン・レジデンス 2010 / Autumn」 (香川)
【舞台美術】
2015 - 2017年 《SLOW MOVEMENT -The Eternal Symphony- 2nd.mov》
新豊洲Brilliaランニングスタジアム、六本木アートナイト、青山(東京)、ビック・アイ(大阪)、象の鼻テラス(横浜)
【主な受賞歴】
2008年 ておりや30周年記念公募展 大賞
2007年 修了制作作品買い上げ賞 (金沢美術工芸大学 所蔵)
2005年 第37回毎日DAS学生デザインコンペ 金の卵賞
この世界にあるすべてのものが、分子そして原子でできているのだと聞いた時、
そのあまりの途方もなさにワケがわからなくなった。
細胞を知った時だって衝撃だったのに、それはさらに次元を超えていた。
この世界のすべてが、もとをただせば全部一緒なのかという
あまりに大きな問いは、その時も、大人になってからもなぜか誰にも聞けなかった。
ある日、
“ すべての生命は流れながら繋がっている “ ということを文章の中で読む機会があった。
ハッとすると同時に後頭部をガーンと打たれ、頭から大きなウロコが落ちた気がした。
これが知りたかった、と思った。
この世界の本質的なことに触れるたびに、
それまで世界そのものだと思っていた目の前の風景は大きく揺らぎ、覆される。
そしてそのことに呆然としつつも、
なにか身体の奥の方から叫びたいくらいのドキドキが湧きあがってくる。
いつまでも、そんなふうに世界の見え方が変わることをもとめたいし、
そのことにドキドキワクワクできる大人でありたいと思う。
色眼鏡をかけられていくうちに忘れてしまった、
幼い頃には身体でわかっていたことがたくさんあったと思う。
モノをつくり続けているのは、そういうことの近くにいやすいからかもしれない。
この世界の不思議は、いつも驚きと歓びを与えてくれる。